◆中学歴史の略年表の問題を解くにあたって(塾生・保護者対象)

◆中学歴史の略年表の問題を解くにあたって(塾生・保護者対象)

年表中の定められた期間に起きた歴史的事項を選択する問題はなんとなくやるのでなく、きちんと年代をすべて調べ、その歴史的内容が具体的には何を指すかまで念入りに調べておくことも重要である。そして、ノートにまとめておくことが必要である。それが正解でない項目もついでに調べておくことは別な機会にその箇所が別な問いかけで出題される可能性が十分あるからだ。

その前に、基本的な歴史の大まかな流れを時代区分にしたがって自分で面倒くさがらず作ってみることも後におおいに役に立つ。そのあとで、まず時代区分の分かれ目のところに着目して歴史上の事件などだけをつけ足していく。その事件が時代を分けることに何らかの形で大きくかかわるケースが多いからである。

それから、それを覚えてから、今度は、政治史、社会経済史、文化史などをそれぞれの観点からだけ、年表にしてみる。それぞれを理解してから、もう一度最初の大まかな年表にいっぱい隙間を開けたものを作り、それぞれの内容を自分で書いた年表に埋め込んでいく。そして、全体を見渡せるようになるまで、何回も見ないで年表を書いてみる。ごちゃごちゃになってしまったら、もう一度時代区分についてだけやり直し、政治や経済や文化などの点からしつこく年表を繰り返し作ってみる。そして、大まかな年表にそれらを書き込んでいく。これを2回、3回と繰り返すうちにだんだん大まかな歴史の流れがつかめてくるようになる。

何年か前に当塾に以下の勉強をしている生徒がいた。神奈川県の社会の入試問題の略年表の問題だけを10年分、抜き出し、それらから新たに年表を作っていたみたいだ。つまり重なる事項は、一つに絞り、最大公約数的な年表ではなく、最小公倍数的な(つまり出題された略年表に載っている事項をすべてのせたもの)独自の自分の年表を作っていた。そして、驚くことに最初は、問題を全然解かず、自分のノートに書いた年表を覚えている。しまいには、何も見ないで書けるようになるまで、時間をかけて繰り返し、頑張っている。完璧になると、やっと略年表の問題を解き出したのである。

すると、これとは別に、過去問の入試問題の類題ばかり解いている生徒よりこの分野においては得点が高かったのである。しばらくすると、略年表の問題に限定されるが、ほぼすべてできるようになった。

もっとも、歴史の勉強はそれぞれのやり方があるのは当然である。

歴史は暗記物だと思い込み、いったいどこまでを覚えたら良いのかということを考えると、歴史好きの生徒ならまだしもそうでない生徒にとっては、ゾッとしてますます嫌になることがあるのではないか?

だから、最初から暗記物であると考えてゴロで覚えてしまうケースもあるかもしれないが、それでは、当然先が見えている。

略年表で、歴史の大まかな流れをつかんだら、どういう理由でその事件が起こったのか、とか、たとえば、鎌倉幕府はどうして滅びたかの説明ができるかということについても十分な理解が必要である。また、それぞれの文化の特徴を具体的な写真で確認しておくだけでなくその文化の特徴はどうかということまで自分できちんと説明できるようにしておく必要があるのである。

テストで何点取るかということも関心事ではあろうが、そのためにおいても、大まかな略年表を作って歴史の流れを理解することは機械的に問題をいくつも解くことより基礎をじっくり養成していくうえで避けては通れない必須事項と考える。

急がば廻れなのだ。

先ほどの生徒であるが、自分でオリジナルの略年表を作ってから、その問題が解けるようになったら、歴史に自信がついたせいか、そのほかの歴史の問題にも自主的に取り組むようになったのである。