◆中3社会【公民】の学校の進度についての個人的見解
現在、厚木市における当塾に来ている生徒の学校の中3社会【公民】の進度について思うことがある。
各中学校はその社会科の専門の先生が最良の指導計画を立て授業を実施しているわけであるはずなので、別にそのことについて、私ごときが、批判めいたことをとやかく言うつもりは毛頭ない。
さらに、これは、その他の厚木市や神奈川県および全国における学校にあてはまるわけではないと思われるが、ちょっと気になるから述べることにするのである。あくまでも個人的見解に過ぎないということは、あらかじめ、申し述べておかねばならない。
さて、私が、この点に疑問に思い始めたのは、約十年くらい前からのことである。
中3において、だんだん歴史に割かれる時間数がのびてきて、その分、公民に入るのがおそくなってきたように思える。
それで、中3になってもなかなか、公民の教科書に入らないのである。(※周知のように以前は中3からすぐに公民の教科書に入っていた時代もある。)
たしかに、現代史を重視する中、歴史学習とりわけ第二次世界大戦後の歴史学習は現代の世界システムをとらえるうえで大切なことである。さらに、そのことが公民の分野とおおいに関わってくることは否めないが…。
これらのことは、おおいに分かるのであるが、公民の学習内容が、二学期以降から始まるというのは、公民の学習内容からすると、かなり、物理的時間が少なくなるのではないか?
こういった単純な疑問である。
そこで、教科書(※この場合、「帝国書院」の社会科・「中学生の公民ーよりよい社会を目指してー」から)の公民で、学習する項目を以下に挙げておく。
大きく分けると、次の4部からなる。
ここでは、書かないが、それらの項目がさらに細分化されているのである。
1.【現代社会】[現代社会と文化、現代社会をとらえる枠組み]
2.【政治】[日本国憲法、民主政治]
3.【経済】[市場経済、財政]
4.【国際】[国際社会(紛争のない世界へ、貧困解消と環境保全)]
上記からみてとれるように極めて広範な内容である。(※日本国憲法などの巻末の資料を除いて教科書ページ数は211ページになる。)入試にこの範囲の中からも当然出題される。
ここでは、入試に出るということは、さておいても、これらの内容をある程度、生徒が理解できるようにするには、かなりの時間数が必要であるということは、誰の目にも確かだ。特に、公民で、学習する語句をしっかり生徒に理解させるのもかなりの説明や解説など、教師側の労力がかかる。少なくとも、公民で扱う内容項目は、生徒にとってきわめて抽象的にしかうつらないからである。それでいて現代社会をとらえる上で、どれもないがしろにできないものばかりである。
もちろん、夏休みの宿題で、「人権」や「税」のことを調べさせ、事前に問題意識をもたせることは、今後の学校の公民の授業にとって大いに意義があることとはいえ、上記の教科書の内容を生徒に身に着けさせるのは、中3の残された社会科の授業時間内に行なうのは至難のわざといえるのではないか?
まして、文部科学省の中学校学習指導要領社会編(平成29年告示)解説にあるように「……これからのよりよい社会形成に、主体的に参画する態度を養う」という目的を達成するには、なおさらのような気がする。