◆小6算数から中1数学の「数」概念の拡張をめぐって
周知のように、4月になり、中1の数学になると小6の算数までの0以上の数から「負の数」へと数の概念が拡張する。
その場合、やはり学習の初めのうちは面倒でも常に数直線に立ち返って確認することがかなり重要になる。
同符号どうし、異符号どうしの足し算はこうなるという法則を先に覚え、それに基づいて計算の練習をさせる傾向がややもするとある向きも感じられるが、それでは、なぜその法則が正しいかを生徒が正しく理解できないままになってしまい、数や計算の理解という観点からは危険と言わねばならない。
多少の時間はかかっても、数直線上で足し算や引き算の意味を分からせ、計算の仕方に習熟させることが肝要である。
その前に正と負の関係を例えば、「上と下」、「南と北」、「増加と減少」などの反対向きや相反する関係であるという接近方法もある。
海抜や温度計や階段の「上がり・下がり」や「利益・損失」などのできるだけ具体的例から特にマイナスの概念を導入していくことも大切である。
さらに、数も小学校のころから中学に入ると整数も「−5,0,+3」などのように拡張され、自然数(正の整数)、負の整数、ただの負の数(−2.5や−1/3など)などがきちんと区別されることが、必要である。この時も数直線は意味をもってくる。
また、絶対値の意味もしっかり理解させたい。
たとえば、「絶対値が2以上7未満の整数をすべて書きなさい」などという問題もきちんと解けるようにしたい。
そのためにも、絶対値の意味の理解ときちんと数直線を書いてみることは大切である。
とにかく、中1の「正負の数」の範囲は小学校の算数の数から数が負の数まで拡張していく特に大切な部分になるので、生徒にとって混乱の起きないように基本に立ち返って指導することは特に重要であると考える。
ここで誤って、計算方法に混乱をきたすとこれから先の数学が思いやられることになるのではないかと危惧するのはわたしだけであろうか?
教える側も最初から負の数ありきで、自分は既に分かっているので当たり前のこととして教えたつもりになったとしたら、初めて学習を始めた小学生の算数しか慣れていない中1の生徒にとっては早すぎて混乱してしまうことにもなりかねないのではないか?
これは、中3の平方根の概念が出てくる、いわゆる有理数から無理数まで含めた数の拡張の場合も同様である。
とにかく丁寧に加法や減法の計算も同符号・異符号を含めて、初めのうちは、遠回りのようでも、きちんと数直線で意味論的に確認しながら、計算方法に慣れ親しむことも必要なことだと考える。
令和7年 3月24日(月)