◆中学数学・関数のグラフを実際に手で書いてみるメリット
もちろん、比例、反比例、一次関数
、y=ax²の関数に限定し、パソコンを使ってグラフを書くと瞬時により正確にかけるメリットはある。
しかし、グラフの特徴を生徒自身にある程度の時間をかけ身を持って体験させることは、特に大切なことに思われる。
もちろん授業担当者は、x軸とy軸の書いてあるグラフ用紙は予め用意しておく必要はある。
各関数の式を予め与えておき、
具体的なxの値をとらせ、それに対応するyの値を計算させ、それらのxとyの組を座標として認識させ、できるだけ細かくその点をグラフにプロットし、それらを結んだものが、グラフだということを分からせる。
つまり、その点、すなわち座標の点の集まりとしての連続した線が、直線であれ、曲線であれ、それらの関数であることを地道に時間をかけ理解させることは、関数そのものの対応関係やグラフの特徴の基礎的理解につながると思われる。
比例や一次関数は比例定数aが正か負で右上りか右下がりかを自分でグラフを書くことによって確認できる。
また、aの絶対値の大小によってグラフの傾き具合が変わる。
このことも理解させたい。
反比例に関しては、プロットした点が直線にならないことをできるだけ細かく点をとることによって理解させ、それが実は双曲線になることを体験させる。
さらに、xの値を限りなく0に近づけたり,とても大きな数(※グラフにおさまる範囲で構わないから)にしたりして、そのときのyの値を計算させ、その座標をプロットさせるのもグラフの特徴を知る上で面白い。(※決して近づくもののx軸・y軸にはくっつかない。)
y=ax²の関数も、比例や反比例や一次関数と同様に与えられた式からx,yの値を計算させ、(x,y)の点のできるだけ多くをグラフにプロットさせる。
そして、それがy軸について対称な放物線になることを分からせる。
単調増加、単調減少(※あるいは単調減少、単調増加)の様子も生徒自身がより実感ができる。
さらに、aの絶対値の値を大きくしたり、小さくしたものを比較しグラフの開き具合を確認させる。
また、aの値が正か負によってグラフは下に凸になるか上に凸になるかを実感として分からせることも大切である。
また、aの絶対値が同じで正か負ではx軸について対称になることも実際グラフを書くことによって分からせる。
ついでに、この関数がその他の関数とグラフの形状が違うことも分からせたい。
自分で実際にグラフを点を取って書くことは、多少時間がかかったとしても関数理解の一助になると思われる。
しかし、どこまで学校で時間をかけてやっているのか?
こういう問題は、例題に従い、当てはめて、こうやって解けばいいということではテストの点はとれるが、関数の本質的理解に繋がっているとは必ずしも言えないのではないか?
「急がば回れ!」という気がするのは、私だけなのか?
グラフが書けるようになったら、どの関数か問題で予め与えられており、グラフ上に点がとってある場合、それから各関数の式を求められるようにすべきであり、当然、xの変域が所与の場合、yの変域も求められるようにしなければならない。(※逆もである)
特に中3のy=ax²のxの変域がマイナスからプラスにまたがっている場合はyの変域には特に気をつけねばならぬ。これもグラフ上のxの点を移動させ、どこからどこまでyが動くかをその動きをきちんと目で追って捉えさえすればすぐに分かるのである。
中1や中2の関数のように全ての場合においてにxの変域のそれぞれの両端の値でyの変域を挟めば良いなどという過ちは決して犯さずに済むのである。
また、変化の割合も一次関数(※比例を含む)の場合とy=ax²の関数の場合では違うこともグラフの形状から一目瞭然である。
一次関数の場合は変化の割合は常に一定であるにも関わらず、書いたグラフからy=ax²の場合は変化の割合はとったxの範囲によって違ってくるのである。(※同じxの増加量に対してもyの増加量が変わってくるためである。)
だからこそ、前者のグラフは直線になり、後者のグラフは曲線(※放物線)になるのである。
このようにグラフを生徒が実際に手で書くことにより、グラフの形状を知るだけでなく、それぞれの関数や変域の特徴までも知るようになるのである。
ぜひとも授業で生徒がグラフを書く時間をもっととってもらいたいものである。
令和7年 8月21日(木)