★中学社会・歴史学習の意義と歴史指導の在り方

★中学社会・歴史学習の意義と歴史指導の在り方

 

なぜ歴史を学習するのかという歴史学習の意義については、歴史学習に入るに先立って中学生にとってはとても興味のあることかもしれない。

東京書籍の教科書『新しい社会 歴史』(令和2年検定済み、令和3年発行)の1ページ冒頭において「私たちはなぜ歴史を学ぶのでしょうか。それは、私たちの未来を考えるために歴史が必要とされるからです。」と記載されている。

比較のために高校の日本史の教科書を見てみる。山川出版社『詳説 日本史』(昭和50年発行)の1ページにおいて次のように書かれている。「われわれが歴史を学ぶのは、過去において祖先がおこなってきたことを正しく理解し、そこに現在と未来への指針をみいだして、よりよい社会の建設を目ざして努力していくためである。」

約50年近く前のものと現在のものとはこのように歴史学習の意義については未来を見据える一つの手段という点ではほぼ同じことを言っているのである。

また、半世紀の間、歴史の主体的学習を重視する点は共通し今になって突然この傾向が起こったわけではない。

ただ、歴史の指導については、時代区分の問題、政治・経済・社会の面からのとらえ方、歴史的事実に関する因果関係の説明の仕方、歴史的事実に関してどういう評価をくだすかという問題、あるいは時代区分における説明内容の粗密をめぐる問題、ひいては歴史観の問題等多くの問題が歴史学習指導の背後に大きく横たわっているのである。

したがって、こういった込み入った問題に遭遇すると教える側もできるだけ客観的事実のみを指導するために生徒にとって、それがどう現在もしくは未来への対処の仕方の方針につながっていくのかという点にまではなかなかつながらないと言えるのではないか?

この点教師がアドバイザーとして授業の中で生徒間で議論させるというのも一つの有効な方法と考えるが、授業時間数の関係からなかなかそういった時間がとりにくいというのも現状であろう。

だから、「ここはテストに出るから重要だ。とにかくノートにまとめて流れをつかみ覚えてしまいなさい。」などと言ってしまうのである。そして、テスト範囲のプリントを配るのである。

われわれも、似たり寄ったりしていることを言う点はおおいに反省しているのである。

でも、先生の中には、自分で作成したプリントに書き込めるようにして後で見返しても要点が整理されているように工夫されている方もいらっしゃる。

いずれにしても、歴史の主体的学習、未来を考えるためにこそ歴史の学習が必要だと半世紀以上も言われ続けているのであるが、暗記科目としての色彩は現在でも相変わらず強い面があるのではないかと考えるが、いかがなものか?。

 

(※注)最近の教科書においては、課題追及を深める工夫もだいぶされているし、学校の定期テストにおいても語句の説明をさせる問題も以前と比べて増えてきている傾向も目立つ。さらに、時事問題を出題する学校も出てきているのは事実であるが。