★今日あたりは…
今日あたりは、文化祭の中学が多いようだ。
何年か前、自治会長をやっていた関係である中学校の文化祭に呼ばれたので、午前中だけ時間が合いていたので行ってみた。
どうやら体育館でやるらしいのでみんなの後を金魚のフンのようについて行った。
ぼくは、どこに座ってよいのかわからなかったのでとりあえず後ろの目立たないあいている席に座った。
最初のうちは、生徒たちの発表がスライドを用いてなされた。映像もよく撮れていてなかなか時間内にうまく構成されていた。それに、それをその場で説明する生徒たちの間のとり方もちょうどよく、聞きやすくわかりやすかった。
ふと、ぼくを後ろからつつくものがいる。
なんとうちの塾生の親である。「先生!そこは保護者の席ですよ。来賓の席はあちらですよ。」と指で向こうの方を指し親切にこう言うではないか?
今さら、歩いて遠くの来賓の席まで行く勇気はなかったので、「ここでいいですよ。」と力なく言ったら、ぼくの性格を知ってか、さもありなんという顔でニコニコ笑っている。
後半は、合唱コンクールみたいなものだった。ふだんから、練習していたんだろう!
どの学年もとっても素敵な歌のハーモニーだった。
音楽がさっぱりわからないぼくでさえ驚いたくらいだ。
なんだか心にしみるものがあった。
ほくは、幼稚園や小学校の学芸会でステージに上がると、親たちが大勢見ているのを目にしたとたん、あがってしまい、耳や顔が赤くほてり、恥ずかしくて子供たちのうしろに隠れてしまう癖があった。
「中学生の生徒たちは、なんでぼくのように、あがらないで平気でできるのだろう?🤔」とコンクールを見ながら、つい思ったもんだ。
もっともぼくが中学生のころは、文化祭といえば、展示が中心で、合唱などはやらなかった気がする。みんなで調べたものを模造紙に書いて貼ったものだな。親たちもこんなに来なかったなー。
親たちの中には自分の子の晴れ舞台を写真におさめようとして三脚付きの立派なカメラを持ってきているものもけっこういる。そうでなければ、スマホでカシャカシャ撮っている。
その日は午後からは用事があるので、午前中で失礼させてもらうことにした。
PTA会長が丁寧にもぼくを学校の玄関までずっと送ってきてくださり、「本当に今日はお忙しい中、本校に来てくださりありがとうございます。」と頭を深々と下げてくださった。
これには恐縮した。
新宿行きロマンスカーの中で、窓の景色をぼんやり眺めながら、ぼくの時代の文化祭と比較してみた。
まあ、ずいぶんと違うものだと隔世の感を抱いたものだ。