◆小学生算数や中1数学で多少気になること!
たとえば、どんな大きさの円でも、直径と円周の関係が一定であることをはじめに教え込むというのではなく、いろいろな大きさの円で直径と円周を実測させてみて、そのことから、次第に実感させることも以外に大切なような気がする。
初学者にとって、初めから直径のおよそ3.14(ここでは円周率を3.14とする。)倍が円周になることは、覚えでもしない限り、なかなか理解しにくい子もいるかもしれない。
実際にいくつもの大きさの違った円において地道に調べていくことも大切である。
そういった、ごくごく当たり前のことが必ずしも十分な時間をかけて果たしてなされているのか?ということがとても気になるのである。
「円周率って何?」と聞くと、「3.14じゃないんですか?」という答えがかえってきてから、久しい。
円周率が円周や円の面積を求める公式の一手段とだけになってしまったのではないか?
「円周率は円周が直径の何倍かということですよ。」と答える生徒も以前はけっこういたのだが、今は…。
直径と円周の関係、半径と円の面積の関係、がごちゃごちゃになっていると、当然、中1数学で学習する「扇形の弧の長さ」や「扇形の面積」等がはっきりせず、混乱する事態に陥ることもままあるようだ。
中心角と扇形の弧の長さが比例しており、中心角と扇形の面積が比例しており、それだからこそ、扇形の弧の長さとその同じ扇形の面積も比例しているとする見方ができるということも表に実際書いてみることによって生徒自身がわかる場合もあるのである。そのためにはある程度時間をかける必要もありそうだ。
しかし、本当に子供たちがじっくり理解できるような時間をとっているのか?
はなはだ疑問であるというのが正直なところである。
そして、扇形の弧の長さは、「円周×中心角/360°」、扇形の面積は、「円の面積×中心角/360°」
といったように、それぞれの公式が「円周」と「円の面積」の箇所だけが違うのであり、本質的には、構造的にきわめて似ており、このようにとらえれば、両者の間で混乱のしようがないようにも思える。
しかし、文字を使った単純化した公式を覚え、それに当てはめる作業だけを行うなら、当然混乱の起こる可能性が出てくる。
意味的に頭の中でその公式の意味するところを直感できない場合があるからである。(※もっとも、公式とはそのような傾向はあるにしても)
まして、S=lr/2などの公式(※lは弧の長さ、rは円の半径)は覚えるだけでなく、きちんと生徒自らその公式の導出ができるようにしておくことも少なくとも必要な気もする。
これらの上述した内容が、小学校から中1にかけて一連のものとして理解されていないとするならば、中1で円柱の表面積や円錐の表面積を求める場合、ただ例題を覚え、それに当てはめることをもってしてその問題が解けたのだと思い込んで、理解したなどと考えてしまうということにもなりかねない。
点数を取りさえすればそれでよいという考え方もあるようであるが、「それでは、ちょっと……」という気になってしまうのが、正直な気持ちである。
(※注)
数学においても理科においても決して公式を覚える意味を否定しているのではなく、その意義は十分にあることは認めた上でのことである。