★中2数学【連立方程式の意味に関して】
連立方程式の利用はここではひとまず置くにしても、連立方程式の解き方には加減法・代入法があるのは周知のことであるが、この解き方をもって、ここ数年、連立方程式は分かったなどと短絡的に思い込んでいるきらいがあるのではないかなどという気がしているので、今年度は、この単元の冒頭で連立方程式とはそもそも何かということに少し時間をかけることにした。
まず、2つの式、たとえば、x+y=5とx−y=−1をあげて、それぞれの式を満たすxとyの組み合わせが無数にあることを表でしめす。
その後双方の式に共通の組み合わせを見つけさせる。
(x,y)=(2,3)がそれである。
連立方程式は、この2つの共通のxとyの組み合わせを求めるということをわからせる。
そして、この2つの式を満足させる共通なx,yの組み合わせのことをこの連立方程式の解と言い、この解を求めることをこの連立方程式を解くということを示す。
ここで集合を使って表わすことによって【共通】の意味を再確認させる。
先日の授業では、12の約数の集合をA,18の約数の集合をBとし、ベン図で示し、12と18の公約数は、A∩Bの共通部分(※1,2,3,6)であることを図示した。
(※注)ここではあえて有限集合にした。
これは、あくまでも共通部分ということを求めることが連立方程式の解になるということのアナロジーとして示したに過ぎない。
ところで、後に行う単元の一次関数のグラフと連立方程式の解の導入として上記の2つの式をグラフにすることを考え、それぞれの式を満足させる解が無数の座標(x,y)の点の集まりである直線で表せることを示したかったからである。
そこで、等式の変形ですでに学習したようにそれぞれの式をyについて解くと、
x+y=5は、y=−x+5,
x−y=−1は、y=x+1
となる。
それぞれをグラフに書いてみると、その交点(2,3)がまさしく、これらの連立方程式の解になっていることをわからせた。
もっとも、正式には一次関数のグラフの書き方はやっていないのでそれぞれの式をy=−xの比例のグラフをy軸の正の方向に5だけ平行移動したものとして、また、y=xのグラフをy軸の正の方向に1だけ平行移動したものと説明した。(※実は当塾においては簡単にではあるが、一年時において比例の関連事項として既に一次関数のグラフの書き方については指導している。)
さらに、連立方程式の解の意味としてあまり学校等では最近は取り扱われる傾向は少ないようであるが、次のような場合をとりあげてみた。
一つは、−x+y=1と−x+y=2の連立方程式である。
この場合はこの2つの式を満足させるxとyの組み合わせは存在しないのである。
すなわち、この方程式の解はないのである。よって、「解なし」ということになる。
このことをそれぞれの式をyについて生徒に解かせ、グラフに表させると、2つのグラフは平行になり交点は存在しないことがわかり、目をまるくしていた。
次に,x+y=1,2x+2y=2の連立方程式である。
この場合はこれらの2つの式を満足させるxとyの組み合わせであるが、この場合一つではなくこれらを満足させるxとyの値がすべて解となる。
実は2つの式は全く同じものであるからである。
このことを上と同じように生徒にグラフに書かせ、2つのグラフが重なることを確認させた。
よって、そのグラフ上のすべての点が解ということになることをわからせた。したがってこのケースは上の「解なし」とはあきらかに違うのである。
前回の授業においては連立方程式の解き方ではなく、そもそも中2で取り扱う連立方程式とは何かということに的をしぼったわけである。
グラフとの関連で解の意味もわかってもらえたのではないかと思う。
あえて「解なし」や「その式を満足させるすべてが解になる」のケースを前回の授業で取り扱ったのは、解の意味を深くわからせるためと連立方程式とは解けるのが当たり前という前提に対してその先入観を取り除くためである。
さらに、式は式、グラフはグラフ、表は表という別なものであるという昨今の生徒の風潮(※これはあくまでま私の個人的見解である。)に対して、それらの関連がしっかりとできていないといけないという危惧が私にあったからである。
それに、中3の2次関数の放物線のグラフと1次関数の直線の交点の意味にもつながるとも考えたからである。