◆小5クラス算数【台形の面積の求め方】生徒に対するこちらの質問…
台形の面積を求める問題をやらそうとすると、例題に合わせて
「台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2」に当てはめて解こうとする。
「では、なぜそのような公式が出てくるのか?」と聞くと台形を逆さにしたものをくっつけて平行四辺形を作り、その面積を2で割ればよいということはきちんと理解できていた。
すなわち台形を逆さにして、くっつけてできた平行四辺形の面積は、「底辺×高さ」で求めることができるので、この底辺は二つの台形の「上底と下底をたしたもの」に等しいから、上記の公式[台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2]が導き出せるのである。
公式に当てはめるだけの練習では、あまりにも味気ないので、「これとは、別な方法で面積を求めることはできないか?」と聞いてみた。
ちょっと考えていたようだが、時間をあまりかけていると、今日の本題(※後でわかる)に十分時間がかけられそうになかったので、台形の一つの対角線を結び二つの三角形に分け、それぞれの面積を足し合わせればよいことを示した。もちろん完全に理解していた。ちょうど三角形の面積の求め方については、学校で終えていたところであるからである。(※ゆとり教育の時、一時的に台形の面積を求める公式が教科書からなくなって、この三角形に分割したものを足し合わせるという方法は今となってみれば懐かしい。)
ここ(※本稿)では、具体的な数字を挙げないが、二つの合同な台形を板書し、具体的な数字(※上底、下底、高さ)を与えて異なる方法すなわち「【台形の面積=(上底+下底)×高さ÷2[公式]】と【二つに分割した三角形をたす方法】」の式を書かせ、答えが一致することを確認させた。
ここでさらに質問してみた。「では、なぜ違った方法でやったにもかかわらず、同じ答えになったんだい?」
すると、しばらく考えてからこう答えた。「もともと同じ合同な台形なのだから、当然面積も同じになるんじゃないかな?」
「それは、とても立派な答えには違いないが、それぞれの式が何か計算上の工夫をすることによってもう一つの別の形に導き出せないかな?」
すると、しばらくして、私の与えた具体的な数字を計算法則を使うことによってそれぞれの求め方が片方に変形できることをなんとか口頭で説明していた。
そこで、5年生にとってはやや難しいのは承知の上で、あえて、文字を使って一般化することを試してみた。
今、求める台形の面積をS、下底をb,上底をa,高さをhとおく。
まず、台形の公式にしたがうと、S=(a+b)×h×1/2となる。
次に対角線で二つに分割した三角形の和として考えると、
S=a×h×1/2+b×h×1/2となる。
先ほどの私の質問は、
(a+b)×h×1/2=a×h×1/2+b×h×1/2を証明すればよいことになる。
h×1/2を塊と見て分配法則を使うと
左辺=a×h×1/2+b×h×1/2になるのである。
逆にh×1/2を塊と見て、それでくくると、(※中学で言えば共通因数でくくると)
右辺=(a+b)×h×1/2になるのである。
ここにおいて、本日の授業における「台形の面積の2つの求め方とそれぞれの文字を使った一般化・並びに式上での一致を理解させるということ」の私の授業のねらいがなんとか達成できたのである。
具体的数字についてはなんら問題がないが、5年生の生徒にとっては、台形の面積を文字を使うことには、多少不慣れの面があるかもしれないが、これから6年、中1になって文字を使っていくことも増えてくる。今のうちに慣れておく必要があると思い、生徒の理解度に合わせて、あえてこのような指導案を考え、やってみた。
ぱっと笑顔になり理解している様子を見てほっとした次第である。
時計を見ると、ぴったり授業の終わる時間だった。
(※授業を終えての反省)
最初のうちけっこう時間があると思い込み、三角形の面積の公式はどうしてそうなるのか?平行四辺形の面積の公式はどうしてそうなるのか?などの「ふりかえり」や、また、台形とはどんな四角形であるのか、平行四辺形の定義は何で、その性質にはどんなものがあるかなどとついつい余計なことを言ってしまって、けっこう時間を費やしてしまった。
もう少し的を絞るべきであった。悪気はないのであるが、私の気を付けなければならない癖である。