★中学公民「価格決定のメカニズム」の指導について
需要曲線と供給曲線の交点に均衡価格が決まり、その条件は需要量=供給量というおきまりのグラフによる説明がなされているわけであるが、中学生にとって、それを丸覚えしてしまえば、確かにテストにおいて得点できるわけであるが、その理解についてはそのグラフからだけでは、なかなかむずかしいのではないか?
グラフから、需要量<供給量のケースでは、価格はタイムラグをともない需要量=供給量になるまで下がり、反対に需要量>供給量のケースにおいては価格はタイムラグをともない需要量=供給量になるまで上がり、ゆくゆくは均衡価格におさまるという説明をされる先生もいらっしゃるようであるが、そもそもそのグラフには、時間軸は記載されていないのである。
したがって、最初からグラフありきで、そのグラフを所与のものとして説明すれば、そうなるのは当り前のことであるが、生徒にとっては、やや抽象的に感じてしまうケースがあるのではないか?
何故、需要曲線や供給曲線がそのような右下がりや右上がりになるのかということを具体的な例を挙げて生徒に実感させるような丁寧な指導をすべきと考えるが如何なものか?
また、市場とはいかなるものであるかということにももう少し時間をさきたいものである。
それに関連し、多数の売り手と多数の買い手の存在が前提されていることも示したい。いわゆる売り手間の競争と買い手間の競争である。
作物がいっぱいとれた時、不作でとれなかった時、ものの値段はどうなるかという具体的な例を挙げさせるのも市場価格の学習の導入として必要かもしれない。
さらに、独占価格や寡占価格についての説明をする場合も資本主義経済が産業資本主義段階から独占資本主義(ややマルクス経済学的視点もあるかもしれないが…)段階へと変容していく経済史的捉え方も深入りせずとも簡単にその歴史的経過について触れることも必要な気がする。
とにかく、教科書をそのまま教えるのでなく、教科書を使って学習内容を噛み砕き生徒の目線にたって指導すべきだということを私自身も反省し、痛感している次第である。